2005年 11月 08日
未決勾留日数1 裁定算入 |
たとえば裁判で「懲役十年に処する」という判決を受けたとき、実際に刑務所に入らなければならないのは十年全てではなく、通常はそこから拘置所に入っていた日数の一部を引いた期間となる、と聞いたことがある人は多いと思います。しかし、じゃあどのくらい引いてもらえるのか?となるとあまり説明を見かけないので、一般的な目安を書いておきます。
有罪判決が確定するまでは、無罪の推定を受けるという建前はよく知られています。この建前からすると、確定前の身柄拘束は刑罰ではなく、公判審理や刑の執行を確保するための拘束なので、確定前は刑務作業を課せられることもありませんし、待遇も受刑者と比較すればずっと自由です。したがって、確定前の身柄拘束を刑の執行と全く同じに扱うわけにはいきません。
しかし、受刑者よりは緩いといっても自由を奪われていることに変わりはなく、刑の執行にあたって確定前の身柄拘束を一切考慮しないのも、逆に衡平を失することになります。そこで、確定前の身柄拘束のうち、捜査や裁判に最低限必要な分を超えた日数は、裁判所の裁量でその全部または一部について、刑の執行を既に受けたものとして扱えるようになっています。これを未決勾留日数の裁定算入といいます(刑法21条)。
未決勾留日数というのは、文字通り刑の言渡しが確定する前(未決)に、勾留状の執行によって拘禁された日数のことです。勾留状の執行前、つまり逮捕・送検されてから勾留請求が認められるまでの日数は含まれません。また、刑期は刑の言渡しが確定した日から起算し(刑法23条1項)、受刑の初日は時間に関わらず一日として扱われるので(刑法24条1項)、確定日も含まれません。結局未決勾留日数とは、勾留状の執行を受けた日から刑の言渡しの確定日前日までの日数となります。もちろん、途中に保釈や勾留の執行停止で拘禁されていない日数があれば、未決勾留日数からは除かれます。
第一審での未決勾留日数の裁定算入は、刑の言渡しと同時に言渡す(「未決勾留日数中六十日をその刑に算入する」など)ので、裁定算入の対象となるのは判決日の前日までの未決勾留日数です。この日数から、まずは捜査に必要な日数として起訴前の勾留(最大二十日間)が除かれます。次に裁判に必要な日数として、初公判とその準備に三十日、二回目以降の公判とその準備に各十日が除かれます。こうして残った日数をだいたいの目安として、本刑に算入する未決勾留日数が決定されます。
控訴審や上告審でも基本は同じで、控訴・上告を申し立てた日から、判決(決定)日の前日までの未決勾留日数から、裁判に必要な日数(控訴審で二ヶ月、上告審で四ヶ月ほど)を差し引いて、判決(決定)で本刑に算入することになります。
とはいえ、裁定算入はあくまでも裁判所の自由な裁量に任されているので、稀に未決勾留日数を全部算入してくれることもあれば、逆に全く算入してくれないこともあるので、しょせんは目安でしかありませんが。
有罪判決が確定するまでは、無罪の推定を受けるという建前はよく知られています。この建前からすると、確定前の身柄拘束は刑罰ではなく、公判審理や刑の執行を確保するための拘束なので、確定前は刑務作業を課せられることもありませんし、待遇も受刑者と比較すればずっと自由です。したがって、確定前の身柄拘束を刑の執行と全く同じに扱うわけにはいきません。
しかし、受刑者よりは緩いといっても自由を奪われていることに変わりはなく、刑の執行にあたって確定前の身柄拘束を一切考慮しないのも、逆に衡平を失することになります。そこで、確定前の身柄拘束のうち、捜査や裁判に最低限必要な分を超えた日数は、裁判所の裁量でその全部または一部について、刑の執行を既に受けたものとして扱えるようになっています。これを未決勾留日数の裁定算入といいます(刑法21条)。
未決勾留日数というのは、文字通り刑の言渡しが確定する前(未決)に、勾留状の執行によって拘禁された日数のことです。勾留状の執行前、つまり逮捕・送検されてから勾留請求が認められるまでの日数は含まれません。また、刑期は刑の言渡しが確定した日から起算し(刑法23条1項)、受刑の初日は時間に関わらず一日として扱われるので(刑法24条1項)、確定日も含まれません。結局未決勾留日数とは、勾留状の執行を受けた日から刑の言渡しの確定日前日までの日数となります。もちろん、途中に保釈や勾留の執行停止で拘禁されていない日数があれば、未決勾留日数からは除かれます。
第一審での未決勾留日数の裁定算入は、刑の言渡しと同時に言渡す(「未決勾留日数中六十日をその刑に算入する」など)ので、裁定算入の対象となるのは判決日の前日までの未決勾留日数です。この日数から、まずは捜査に必要な日数として起訴前の勾留(最大二十日間)が除かれます。次に裁判に必要な日数として、初公判とその準備に三十日、二回目以降の公判とその準備に各十日が除かれます。こうして残った日数をだいたいの目安として、本刑に算入する未決勾留日数が決定されます。
控訴審や上告審でも基本は同じで、控訴・上告を申し立てた日から、判決(決定)日の前日までの未決勾留日数から、裁判に必要な日数(控訴審で二ヶ月、上告審で四ヶ月ほど)を差し引いて、判決(決定)で本刑に算入することになります。
とはいえ、裁定算入はあくまでも裁判所の自由な裁量に任されているので、稀に未決勾留日数を全部算入してくれることもあれば、逆に全く算入してくれないこともあるので、しょせんは目安でしかありませんが。
by l.aquarius
| 2005-11-08 07:43
| 刑事