2006年 10月 16日
無期刑受刑中に死刑が確定した場合 |
死刑に処せられた罪が、無期刑の確定前に犯したものである場合には、両者は併合罪の関係にあり、刑法51条1項但書前段が適用されるので、無期刑の執行はできなくなります。したがって、検察官は刑執行取止指揮書によって無期刑の執行を中止します(執行事務規程30条1項)。
一方、死刑に処せられた罪が、無期刑の確定後に犯したもの(典型的なのは仮釈放中に犯した罪)である場合には、両者は併合罪の関係にはなく、刑法51条1項但書は適用されません。しかし、死刑確定者に無期刑を執行する意味はないので、この場合には刑訴法482条8号の事由があるとして、検察官は刑執行停止指揮書によって無期刑の執行を停止します。
無期刑仮釈放中に犯した罪で死刑に処せられた者は、死刑確定前に仮釈放を取り消されて復所しているのが通例です(刑法29条1項4号)。常識的に考えて死刑確定は翌年以降でしょうから、無期刑受刑者の年末在所人員の増加として把握されているはずです。そして、死刑が確定した時点で無期刑の執行が停止されるので、今度は年末在所人員の減少として把握されることになります。
昭和51年~平成17年に、無期刑の仮釈放中に犯した罪で死刑が確定した者は、10名11名いますので、復所者の人数は107名+10名11名(死刑確定による執行停止者数)+死亡者数となり、最低でも30年間で117名118名、年平均では約4名弱の無期刑受刑者が刑務所に逆戻りしていたことになります。
注:死刑確定者の人数については、笑月さんのサイト(「死刑確定者一覧」「死刑被執行者一覧」「戦後死刑事例」@刑部)を参考にしました。1979-4は永山判決平成元年からの執行中断以前に執行されたのかしら?
(10/17追記)笑月さんからの情報で、1979-4の死刑囚は1989年に執行されたとのことです。まさしく中断前の最後の1人(平成元年11月10日・福岡)ですね。
(11/26追記)昭和51年~平成17年に、無期刑の仮釈放中に犯した罪で死刑が確定した者の数を、10名から11名に訂正。
一方、死刑に処せられた罪が、無期刑の確定後に犯したもの(典型的なのは仮釈放中に犯した罪)である場合には、両者は併合罪の関係にはなく、刑法51条1項但書は適用されません。しかし、死刑確定者に無期刑を執行する意味はないので、この場合には刑訴法482条8号の事由があるとして、検察官は刑執行停止指揮書によって無期刑の執行を停止します。
無期刑仮釈放中に犯した罪で死刑に処せられた者は、死刑確定前に仮釈放を取り消されて復所しているのが通例です(刑法29条1項4号)。常識的に考えて死刑確定は翌年以降でしょうから、無期刑受刑者の年末在所人員の増加として把握されているはずです。そして、死刑が確定した時点で無期刑の執行が停止されるので、今度は年末在所人員の減少として把握されることになります。
昭和51年~平成17年に、無期刑の仮釈放中に犯した罪で死刑が確定した者は、
注:死刑確定者の人数については、笑月さんのサイト(「死刑確定者一覧」「死刑被執行者一覧」「戦後死刑事例」@刑部)を参考にしました。1979-4は
(10/17追記)笑月さんからの情報で、1979-4の死刑囚は1989年に執行されたとのことです。まさしく中断前の最後の1人(平成元年11月10日・福岡)ですね。
(11/26追記)昭和51年~平成17年に、無期刑の仮釈放中に犯した罪で死刑が確定した者の数を、10名から11名に訂正。
by l.aquarius
| 2006-10-16 02:49
| 刑事